冒険の

足跡残す

もみじの上　（字余り）

 

 

「おや、にゃあさん

何処へ行くんだい。」

『・・・』

僕のことを空気のように無視して通り過ぎていくにゃあさん。

「いい天気だから冒険しに行くのかい？」

『・・・』

僕の声は聞こえない仕組みになっているにゃあさん。

「気を付けるんだよ　にゃあさん。」

『・・・』

貴様は我の尻尾でも見ていやがれ

と
言わんばかりのたたずまいにゃあさん。

完璧な無視をされながらも

にゃあさんの行方を見ていると

会社の裏へと足を進めていく。

こっそりついていくと
そこには

にゃあさんしか通れない道

にゃあさんしか
見れない景色

にゃあさんしかない冒険がありました。

にゃあさんも梶間幸建にきて早14年。

その前にも2年間放浪していたみたいです。

どんな冒険をしてきたのかにゃあさんに

聞いてみたいですが、さすがに言葉が通じません。

そんなにゃあさんをみて少し思いにふけました。

僕も梶間幸建に入社して8ヶ月です。

建築業界に進むと決めたときは

まったく何も知らず、全てが初体験で

新しい世界が広がっていました。

ひとつずつ教えてもらい、ついていき

知らない世界を冒険しながらも月日は経ち

もう今年が終わろうとしています。

にゃあさんがもみじに付けた足跡のように

梶間幸建で過ごしてきた道に

僕の足跡は
ちゃんと残っているのかなと振り返った時

些細なことかもしれませんが

僕の机があり、専用のコップがあって

議事録に僕の名前があったり

頼ってもらえることがあったり

名前を呼んでくれるお客様とご縁できていたりと

踏み込んだ時からの１歩目からしっかりと

見ることが出来ました。

何よりも僕の足跡に並んで、いろんな人たちの

足跡が付いているのを見ることが出来て

本当に幸せ者だと感じました。

恵まれた環境に入れる幸せを噛みしめ

僕の幸運を並んで歩いてくれている方たちに

お裾分けしながら突き進んでいこうと思いました。

と、僕がそんなことを考えていることなど

知るよしもないにゃあさんは

『いつまでみてんの？』

と言わんばかりの表情でこちらを見ていましたとさ。

 

 

 

 

紅葉も深まり

会社の前の景色はだんだんと冬に近づいてきました。

ますます寒くなって来ますが

冬のおいしい旬ものを食べて

今年もう少し！頑張って参りましょう！！

いつになく思いふけの深い

ユーキでした。